素振りによる打撃上達以外の副産物

前回、素振りをやり過ぎなくらいにやって、大きく成長した選手のお話をしました。

私にとってはこの子はとても思い出深い選手ですが、少年野球においては、こんな事はよくある話だと思っています。
子供はいつ、どのタイミングで化けるか分かりませんから。

野球少年の上達にとって、チームとしての練習が大事なのはもちろん、指導力のある指導者にめぐり合えるのか、素晴らしいバッティング理論や練習方法に出会えるのか、そう言った運命的な要素も影響は大きいだろうし、もちろん選手個々の才能や運動神経も大事だとは思います。

でも私は、何より大切な事は、個人の努力だと思っています。
そして努力が一番手っ取り早く、際限なくできる手段が素振です。


前段が少し長くなりました。

バットを振れば振るほど、バッティング技術が上達するのは間違いありません。
素振りをし過ぎて打てなくなった子を、私は見た事がありません。

(腰を痛めた子はいましたが・・・。)


そして、素振りをする子は、不思議とバッティングだけでなく、捕るのも、投げるのも、走るのさえも上手になります。
野球全般の上達に影響してきます。

これは本当に不思議です。
不思議ですが事実です。


なぜそうなるのか、私なりにいつも考えていました。

私の結論は以下3点です。

1・素振りをする事によって、誰よりも練習をしていると言う自信が付く
(他が遊んでいる間にも俺は練習した!負けるわけがない!と言う自信が動きを変える)

2・野球に接する時間が長くなる事で、野球について考える事に慣れる
(野球の事を考える事が当たり前の事になるので、人の真似をしたり、自分なりの工夫ができるようになる)

3・毎日数十分の間、一心不乱にバットを振る事で集中力がつく
(集中力がつく→練習の中身が効率的になる→さらに練習→集中力がつく、と言うようなスパイラル)

以上のように考えています。

おそらく、大きく間違えてはいないと思います。

少なくとも、私が見てきた限り
「素振りをする子は野球が上手になる。」
これは間違いないです。

素振りは上達の最低条件、と言っても過言ではないと思っています。

バッティング練習の基本はやっぱり・・・

私が監督をやらせていただいていた少年野球チームでは、バッティング上達のために、素振りを毎日欠かさず行う事を原則としていました。
打撃練習では一番重要な事と言い聞かせていました。

それでもやらない子はやりませんが、逆に多い子は一日500回以上も振っていました。

その中で、強烈に印象に残っている子がいます。

彼は野球を始めた時には、まったく動けない選手でした。
大げさでなく、本当に何もできない。
アップの時のスキップ系の動き、と言うかスキップそのものさえまともにできない子。

結論から言ってしまうと、その子は一昨年卒団したのですが、彼の最後の試合のオーダーは『3番サード』でした。

正直、その代のレベルはそれほど高くはありませんでしたが、押しも押されもせぬ中心選手でした。
スキップすら出来なかった子が。


彼はとにかく素振りをしました。
毎日欠かさず振りました。

その結果、チームの多くの選手を追い越し、逆に大きな差を付けました。


素振りをする子としない子で、明確に違いが出ます。

素振りをしない子は、スイングスピードが上がりません。

どんなに優れた指導者が素晴らしい理論を教えても、「バットを振る」と言う動き自体に慣れていなければ、教えられた通りには振れません。
きれいなスイングをしていても、スイングスピードが遅ければボールに当たりません。

よく聞く言葉で、「変なスイングで回数を振らせたら、おかしな癖がついて良くない」と言うものがあります。

私はそうは思いません。

変なスイングでも何でも、バットを振り慣れていれば、いくらでも矯正できます。
逆に、振り慣れていなければ、何も教えられません。


ちょっと長くなったのでこれくらいにしますが、とにかく素振りはするべきです。

阪神タイガースの城島健二捕手の本「スーパーキャッチャー城島健司」には、城島選手は子供の頃、1日10回しかバットを振らなかったとありました。

これはあくまでもアメリカメジャーリーグで一線級の活躍ができる才能の持ち主の話、それを真に受けてしまっては、悲しい事になるでしょう。


打てるようになるには、まずは素振りをする事。
毎日欠かさず振る事。

当たり前のようで、なかなか出来ない事です。

だからこそ、値打ちがあると思います。


始めて野球をした子

初めて野球をした子供と言うのは、びっくりするくらい動けない事が多いです。

ボールを投げれば前足が大きく外へ開き、投げる手はサイドスローともアンダースローともつかない位置からリリース、投げ終わった後も軸足は後ろに残ったまま。

バットを振らせれば、まるで居合い抜きでもやっているかのような、ヘッドが下がったドアスイング。

でも、もし自分の子供がそうだからと言って、気にする必要はありません。


私が見てきた限り、何も言わなくても最初からそれっぽい動きができるのは、10人の子供がいればせいぜい2人いるかいないかくらい。
その他はみんな同じような動きを見せます。

全体的に、私達の子供の時では考えられないくらい、子供の運動能力は落ちていると思います。

一方で、何も言わなくても、最初からちゃんと野球っぽい動きができる子もいます。
その違いはどこにあるのでしょう?

例えば投げ方ひとつを取ると、最初からできる子は、幼少期から物を投げていた事が多いようです。

神経や骨格の発達していない小さな子は、無意識のうちに自分の体に一番負担のかからない動きをすると聞いた事があります。

つまり、負担のかからない動き=野球で言うと正しい投げ方となりますから、それを繰り返すうち、小学生の時には正しい投げ方に近いものが出来上がってる、と言う事になるのでしょう。


ではそれが野球の才能に直結するのか?と言うと、残念ながら必ずしもそうではありません。
少年野球チームに入った時に何も言われずにできた子が、最後まで一番上手かと言うと、決してそんな事はないのです。

教え方と、本人の努力次第で、卒団時には実力が逆転していた例を、私は見ています。

大事なのは、子供を指導する周りの大人が、本人が進んで努力する環境と、結果の出るコーチングをしてあげる事だと思います。
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